今日も旅天気
 
アジア大好き。共産党は大嫌い。
 



カイラスへ1

 私たちの車を追い越した四輪駆動車は水溜りの泥水を激しく撒き散らし、一瞬、フロントガラスが泥水に覆われ、前方が見えなくなった。
運転手のニーマは軽く舌打ちしてつぶやいた。
「この悪路をこんな激しいスピードで走ったら、いずれ事故を起こすか、車が壊れてしまうよ。日本の車でもね」
 確かに故障車は多かった。ただ故障は私達の車でもあったので、これは仕方ないだろうと思う。道は確かに悪いのだ。しかし安全運転することはできる。
実際、帰り道、自損事故でフロントガラスにでも突っ込んだのだろうか、
「誰か病院に連れて行ってくれ」と叫んでいる雲南ナンバーの車から這い出してきた、血だらけのゆがんだ顔の中国人の若者を見た時は、かなりびびった。ニーマの安全運転は私たちにはありがたかった。
 私たちの乗っている車ももちろん四輪駆動車だ。荒々しい自然の残るこの西チベットでは本当に信頼できる車しか走ることができない。この地ではトヨタのランドクルーザーが九割以上を占めている。同じ車種ばかりだと、故障の時に部品の供給が比較的容易なことも理由の一つだろうが、もちろんそれだけではない。古い話だがリビアのカダフィ大佐も絶賛した荒地での性能のよさ、だろう。中国や韓国の車はチベットの大地を走る力はまだ無いようだ。
 ニーマはチベット人だ。年齢は聞かなかった。特に理由は無い。たぶん四十代だろうと思って聞かなかった。でも実際はもっと年をとっているように見える。チベットの激しい自然が彼を実際より年上に見せているのかもしれない。推測だから本当のところはわからないけどね。他のツアー運転手は三十歳前後の者が多い。そして若さゆえにアクセルを踏む足に力が入り、事故を起すのは世界共通だ。
 私たち日本人は五人、私と女房、ラサで待ち合わせをした友人、そしてラサのホテルの張り紙で集まった若い女性二人。男一人と女四人の即席チーム、カイラス目指して行動を共にすることになった。
 ニーマは年相応に少しお腹の出たチベッタンだ。中国語が少し話せる。口数が少なく、行動で示すタイプのようだ。



2006年12月15日(金)01:17 | トラックバック(0) | コメント(0) | レジャー・旅行 | 管理

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